珍魚落雁

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help リーダーに追加 RSS 宿り木の下で(side:R)【絶えずの炎 bX1】

<<   作成日時 : 2008/05/24 02:24   >>

トラックバック 1 / コメント 5

「…でしょうか…。」

「…え?」

 逃がすまいと
 胸の中に 閉じこめたまま
 
 彼女の返事を
 息を詰めて 待っている俺の耳に

 かすかな声が聞こえてくる

「私…いつか…あの部屋…出て行かなくても…いい…んでしょうか…。」

 は!?

 な
 なに とぼけたこと!

 この期に及んで!!

「…最上さん…!」

 いいかげんに してくれ!…と 言いかけた言葉が…止まる。

「…ずっと…敦賀さんの…そばに…いさせてもらって…も…。」

 震えながら
 ぽろぽろと 涙をこぼしている

「離れたい…なんて 言ったって…。」

 そっと
 そのほほの涙を吸い取る

「離してなんてあげない…絶対に…」

「…敦賀…さん…」

 ぎゅっと 彼女が俺にすがりついてきた。

「いさせてください…!ずっと そばに…!」

「…ああ…この先ずっと…。一生…ね。」

 離すものか!絶対に!!

「愛してる」

「…私…も…」

 おずおずと彼女が 答えてくれる。

 互いに
 自然にふれあう口づけ

 それが
 俺たちの本当のファーストキスだった。

画像


「…あ…の…。つ、敦賀…さん…?」

「蓮」

「れ、蓮」

「なに?キョーコ」

「う”…!」

 たちまち 彼女が真っ赤になる。

「や、やっぱり無理です!やめませんか?この呼び方」

「…はいはい…。徐々に慣れてくれればいいから。」

「そ、そうさせてください!…で、あのぉ…」

「ん?」

「い、いくらなんでも やりすぎじゃないんでしょうか!!このノエルプラン!!」
 
「え?でも、いかにも君の好きそうな…」

「ええ!すっごく!!!だいすきなシチュエーションです!とっても!!!」

「…だったら。」

「でも!!!ベルサイユ宮殿の鏡の間借り切って、舞踏会なんて やりすぎです!!絶対!!!」

「閉園後のたった1時間だし…。別に大したことじゃ…。」

「私たち2人のためだけに 50人もオーケストラ呼ぶなんて!もったいないですー!!!」

 …。

 困ったな

 この程度で この反応とは。

 まだ、プラン第2,第3も 待ってるのに…。

「キョーコ」

 きゅらきゅららきゅららら

「う…!」

「折角 いらしてくださった オーケストラの方々に 演奏していただかないのは もっともったいないだろ?」

「ハ、ハイ サヨウデゴザイマスネ…」

「じゃ、踊ろう。Shall we dance?」

「は、はい」

 やっと彼女が俺の手を取ってくれる。

 それを合図に 指揮者が棒を振り 優雅な円舞曲が流れ出す。

「そのドレス よく似合う。シックだね。」

 羽根のようにふわふわした飾りが ステップに合わせてやわらかくゆらぐ。

「マリアちゃんの見立てなんです!センスいいですよね!」

「ああ。ホントにね。」

 一流ファッションモデルだった母親の遺伝子
 しっかり ひきついでいるようだ。その容姿だけでなく。

「敦賀さんこそ…お似合いです…眼鏡…。」

「ああ、軽い変装。フランスなら、この程度でも ごまかせるんでね。」

 日本だと この身長が悪目立ちしすぎて すぐばれるが
 フランスなら、周囲もでかいので すっぽり 隠れてしまえる。

「あ、わ、私もなにか!…って そんな必要ないですよね!日本ならともかく!」

「…外国だし…気を遣う必要ないよ。俺が変装するから。こうやって。」

 にっこり ほほえんでみせた。

 実は 
 こっちでも

 コンビニにでさえ 君のDVDは置いてあるんだ…などと ばらしたら

 即 回れ右して 日本に帰られてしまう!

「それに 万が一 見つけられても 問題ないよ。婚約者や夫婦なら スキャンダルにならないし。」

「あ、それなら…安心…って…!?」

「俺と結婚してくれるよね?もちろん。」

「あ、あの…わ、私…まだ…18…」

「…最上さん…」

 ぐっと 胸元に抱き寄せる。

「俺のそばに いてくれるんだろ?ずっと。一生。」

「あ、あの…」

「…それとも…あれは うそ?」

「う、うそなんかじゃ!」

「じゃあ 決まりだね。」

「…あ…、あの…。」

「君の高校の卒業式は、1月25日…だから。式は、2月初めにしようか。」

 とたん
 彼女の動きが止まる。

「ど、どうしたの!?」

 ま
 まさか!

 「そんな気はない」なんて 言い出すつもりか!?

 つーっと 彼女の目から涙が落ちる。

「キョ、キョーコ?!」

 そんな!
 「…やっぱり 兄としか思えない」なんて 言い出すのか!?今更!!

「…私の…家…。」

「…え?」

「私なんかにも…家が…家族が…持てる…なんて…。」

 …!

 ぎゅっと その頼りなく細い体を抱きしめた!

「一緒に作ろう。」

 そっとその耳にささやいた。

「温かくて安らぎのある…幸せな家を…。」

「…蓮…」

 オーケストラの奏でる曲は
 いつのまにか円舞曲から結婚行進曲に変わっていた。
  
イラスト「円舞曲」(画:『百花繚乱』蕾様)
画像


  畏れ多くも スキビ素敵サイト大御所であられる『百花繚乱』蕾様のフリーイラストを使用させて頂きました。
  蕾様 イラスト使用のお願いに 即答でご快諾いただきまして 本当にありがとうございました。
  この1編 感謝の思いを込めて 蕾様に 捧げます。 m(_ _)m



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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
よかった〜!
この期に及んで捻じれこじれな恋愛脳回路に迷い込んだりしなくて!!

Plan1でベルサイユ宮殿にオーケストラ…。
2,3には一体何が…!?
恐ろしくもあり、楽しみでもあります(笑)。
もみー
2008/05/24 04:07
うきゃーーー(*>_<*)!!!!!
おめでとーvvvキョーコちゃんvvvvvv
そして、ありがとうございます!ことりんさん!!!!
あー。良かった。本当に良かった。
蓮はさておき(笑)、キョーコちゃんが幸せになれて。
私もものすごく幸せです♪
これで、またしばらくはお仕事がんばれそうです☆(笑)
いつも、心の栄養をありがとうございます!ことりん様vvv
うちゅうねこ
2008/05/24 08:44
とうとう・・とうとう成就できたんですね、蓮!!!(そして松の失恋決定)
まさか途中でマリアちゃんを味方につけるとは思わず、本気ではらはらしました。(そういえばマリアちゃんって蓮のこと好きだったんだって忘れてた^^;)
ベルサイユ宮殿って・・・俗物な自分はすぐにいくらかかったんだろうと頭の中で計算していました(笑)キョーコちゃんこなかったらそれもすべて水の泡と消えてたんですね。これてよかったね、蓮w
それよりも、キョーコちゃんがお付き合いを吹っ飛ばして結婚という申し込みに拒否を示さなかったことに意外と驚きました。
そこまで家族愛に飢えてたんですね。
李那
2008/05/24 10:15
良かった−−っ。やっと蓮の思いを受け止められたのね。
曲解無しで。めでたし、めでたし…。
Plan 2, 3……、夜まではまだ長い…か。
早速家庭作りに精を出す蓮に期待。
markura
2008/05/26 05:07
皆様 熱いコメントありがとうございます。m(_ _)m
連載終了後に 改めてお返事させてください。

これだけは、ひとこと!
Evany様!お誕生日おめでとうございます!*^-^*
ことりん
2008/05/30 23:57

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